【「里の草木染め倶楽部」に潜入取材!家庭科?科学?哲学!?自由で楽しい学びの場】

2月にengawaハナレで始まった、「里の草木染め倶楽部」。
募集開始してすぐに一旦締め切るほど、当初から多くの反響が寄せられているengawaプロジェクトで
す。
その説明にある、次の一文。


「『里の草木染め倶楽部』は講座ではなく、実験室です」


( ゚д゚)ジッケンシツ?
真相を探るべく、開催日に潜入調査を敢行!
するとそこは、「草木染め」の響きから想像される、手仕事の温もり…
だけでなく、調理実習さながらの「家庭科」
“ガチ実験”を通じての「理科」
そして、道徳…倫理…いや、「哲学」
の要素が散りばめられた、素敵な学びの場でした。


今回のブログでは、その模様をリポートします【c゜□゜)q←マイク


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草木染め倶楽部では文字通り、小枝や葉っぱ、木の実の殻など
寺家で採れる四季折々の自然物を使って色染めを楽しみます。
毎月1回開催し、いつも大体10人近くが集まるそう。


潜入したのは10月初旬、この日の染料は「葛(くず)」。
わたしは気に留めたことがありませんでしたが、寺家にはツル性の葛の葉が繁茂しているのです。


この葛の葉の力で、黄色・緑色の染色を試みるのがこの日のテーマ!
さっそく朝、集まった参加者で葛の葉を採取しました。
これを、まず…


刻む!!!工エエェェ(゚д゚)ェェエエ工


その光景はまるで、調理実習。
草木染めに、そんな「家庭科」的な工程があったとは…!
ただ、本物の調理実習と違うのは、ちゃぶ台を囲んで会話を楽しみつつ葉っぱを刻んでいる、和気あい
あいとした雰囲気でした。


「次回は何で染めましょう?この季節に採れるもので、面白そうなものは…」
問いかけに対して、いろいろな案が出されます。
葡萄のツル、柿の葉、赤紫蘇の茎、イガグリ・どんぐりの殻…

…どんぐり!??

どんぐりで染め物が出来るんですか!??( ゚д゚)ヒョエー


無知なあまり、ひたすら驚き続けているわたしに
参加されているおひとりが、これまで様々な染料で染めてきた糸や布類を見せてくれました。


薄緑や黄色、水色、ピンク…
自分の語彙ストックから、そう言い表すしかないのが悔しいのだけど( `°罒°)ムキー
どれも、淡く、やさしい色合いです。
見て触って、気持ちがほどけていくのが分かりました。


特に、視覚的な癒し効果は確かな気がします。
現代は、目に入ってくる刺激が昔よりもずっと強いはず。
スマホやPC等の電子機器が、日常に溶け込んでいることはもとより
一般的に流通している服には、蛍光染料も当たり前に使用されています。
数千年、もしかしたら数万年前から人類が親しんできただろう草木染めを見ると
本能的に、目が安心するのかもしれません。


……そんなふうにボーっと浸っていたら( ゚ ρ ゚ )ボーーーー


皆さん、調理室へ移動!
重曹を入れ沸騰させた湯で20分、刻んだ葛の葉を茹でる工程に移りました!c゜□゜)q←マイク
なお、葛の葉はアクが強いため、一煎・二煎目の湯は捨てて、三煎目の葉っぱで染色するそう。


茹でている間、染めるために各自持ち寄った布類を、鉄など金属成分を含む「媒染液」に浸して
おきます。
これは、染料の色素を植物性の繊維に定着させるために、必要な工程。


と、ここで【リトマス試験紙】が登場!( ゚д゚)
目指す色に近づけるには、染料のph濃度が重要なのだそうです。
まさか草木染めで、「理科」の必須ツールにお目にかかるとは!


さて、調理室に戻ってみると…
葛の葉を煮出している湯が、濃い茶色に変化しています!!


見た目からしてドロドロ、まさに「アク!」の様相。
三煎目から染色する、というのも納得です。これは捨てるよね…


…と思っていたら
「染めてみよう!」の、参加者さんの声。


染めてるーー!!
一煎目のお湯で染めてるーーー!!工エエェェ(゚д゚)ェェエエ工

「わたしも染めちゃおうかな」
「わたしは三煎目からでいいや!」


皆さん、何とも自由。
そして何より、楽しそうです。
この時、参加者さんが発した言葉がとても印象的でした。


「皆の経験値を寄せ合うのが、面白いんだよね。
先生に習う教室みたいな形式だと、染めあがった色が正解か、そうじゃないかで判断されがち。
でも、何事も経験することが大切だし、草木染めに“正解はない”よね」


.˚‧º·(ฅдฅ。)‧º·˚.ジーーーン…


大人になると(随分昔ですけど)世間の常識にまみれ、どうしても万人に共通する正解を求めがちです。
でも
「これ、どうなるかな」「やってみよう」という好奇心・挑戦心と
そこから生まれ、積み上げていく経験値にはきっと、もっと大きな価値があるはず。
それらこそを大切にして、生きていこう!と、決意を新たにできました。(`・ω・´)シャキーン


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布類は最終的に、ほんのり黄味がかった、渋い薄緑色などに仕上がりました。
ちなみに三煎、四煎目での染色は、あまり色が出なかった模様。
そんな「結果」「成果」よりも、もちろん楽しんで実験できたことがすべてです!


「里の草木染め倶楽部」潜入取材はこうして、人生哲学をも教わって幕を閉じたのでした。


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「里の草木染め倶楽部」、次回は11月8日(金)に開催予定。

追加で数名の受け入れが可能だそうです。
“実験”を楽しみたい方は、ぜひ!